売上予測

売上予測の立て方 宿・飲食・教室で使える掛け算の型

売上予測は、数字をひと塊で当てにいくのではなく、掛け算に分けて考えると立てやすくなります。宿・飲食店・教室の3つの型と、根拠の集め方をまとめました。

売上予測は、「客数×単価」のような掛け算に分け、それぞれの数字に根拠を添えて立てるのが基本です。売上をひと塊の数字として決めてしまうと、なぜその金額になるのか説明できず、金融機関や専門家との相談でも伝わりません。この記事では、宿・飲食店・教室の3つの型を使って、売上予測を立てる手順を紹介します。

どんな事業の売上も、次の形に分けられます。

売上=お客様の数 × 1人あたりの金額 × 回数や期間

この3つの要素を、事業の種類に合わせて言い換えると、予測の立て方が見えてきます。言い換えた要素ごとに、「いまの自分に分かっている数字」と「これから調べる数字」を分けて書いておくと、調べるべきことが明確になり、準備の順番も決まります。分けるメリットは、どの要素が弱いのかが分かることです。たとえば、客数は十分でも単価が低いのか、単価は高くても客数が足りないのかで、取るべき手は変わります。

型1 宿の売上予測

宿の売上は、客室の数と、泊まられる割合、そして1泊あたりの金額で決まります。

要素意味根拠の集め方
客室数貸し出せる部屋の数改装の計画から決まる
稼働の割合貸し出せる日数のうち、実際に泊まられる割合近い条件の宿の話・予約サイトの空き状況・季節の動き
1泊の宿泊単価1室あたりの1泊の金額近い条件の宿の価格・自分の宿の特長
期間その月の営業日数カレンダー

計算は、客室数×営業日数×稼働の割合×宿泊単価です。たとえば客室が5室の宿なら、5室という数字から出発して、月ごとの稼働の割合を変えながら計算します。観光地の宿は、季節・週末・平日・大きなイベントの日で稼働が大きく変わります。花火大会や神社の祭事、地域のイベントがある日は、予約が入りやすい日として、別に見込みを立てると現実的です。

型2 飲食店の売上予測

飲食店は、席の数と、席が使われる回数、客単価で決まります。

  1. 席数:お客様が座れる席の数
  2. 1日の入れ替わりの回数:昼と夜、それぞれ何回転するか
  3. 席の埋まり具合:満席に対して、どのくらい埋まるか
  4. 客単価:お客様1人あたりの金額
  5. 営業日数:その月に店を開ける日数

計算は、席数×入れ替わりの回数×席の埋まり具合×客単価×営業日数です。平日と週末、昼と夜で数字が違うため、分けて計算し、足し合わせます。持ち帰りや予約の貸切など、席数に縛られない売上があれば、別の行として足してください。

型3 教室やレッスンの売上予測

教室は、生徒の人数と、月謝や1回の料金で決まります。

要素意味考え方
生徒数通ってくれる人数1か月ごとに、新しく入る人数と、やめる人数を見込む
月謝・料金1人あたりの月の金額回数ごとの料金か、月額かで考える
体験の人数体験に来る人の数体験から入会に進む割合を見込む
開講の枠教える側が対応できる回数講師の数と時間から、上限を計算する

教室は、生徒が積み上がっていく形のため、最初の月は少なく、徐々に増えていくグラフになります。体験の人数×入会の割合で、毎月の新しい生徒を見込み、そこからやめる人数を引いて、生徒数を積み上げていきます。開講の枠には上限があるため、生徒数が枠を超える見込みになったら、講師を増やす、時間を増やす、といった次の計画も同時に考えます。

見込みどおりと控えめの2通りを作る

売上予測は、1通りだけでなく、2通りを作っておくと、計画の強さが伝わります。

種類数字の置き方使い道
見込みどおり根拠のある数字をそのまま入れる目標として、日々の行動の目安にする
控えめ客数や稼働の割合を、少し低めに置くこの場合でも続けられるかを確認する

控えめな予測でも毎月の費用を払い続けられるなら、その計画は、とても堅実です。反対に、見込みどおりでようやく収支が合う計画なら、費用を抑える工夫や、収入を増やす企画を、早めに考えるきっかけになります。

根拠を集める手順

掛け算の1つひとつの数字に、根拠を添えると、予測は説得力を持ちます。集め方は次のとおりです。

  • 近い条件の事業の話を聞く:同じ地域・同じ規模の事業者から、客数や時期ごとの動きを教えてもらう
  • 公開された情報を見る:予約サイトの空き状況、地域のイベントの日程、観光の動き
  • 自分の試験の結果を使う:試験的に提供して、反応や価格の受け止められ方を確かめる
  • 自分の強みを数字に変える:場所・設備・音楽・経験など、他とは違う点を、単価や客数にどう結びつけるかを考える

根拠のメモは、「どこで、いつ、誰から聞いた情報か」を一行で残しておきます。あとで見直すときや、相談で説明するときに役立ちます。

つまずきやすい点と、直し方

売上予測を作るときに起きやすいつまずきと、その直し方を表にまとめました。

つまずき直し方
開業したての月から、満室や満席を見込んでしまう最初の数か月は低めに置き、徐々に上げていく形にする
全部の日を同じ条件で計算してしまう平日・週末・イベントの日を分けて、別々に見込む
単価を、お客様に選ばれる価格より高く置く近い条件の事業の価格を見て、自分の特長に合う価格を決める
売上のほかに、手数料や割引を見落とす予約サイトや決済の手数料、割引を、費用の側に入れる
季節の波を考えていない12か月分を並べ、静かな時期にも続けられるかを見る

とくに季節の波は、観光地の宿や店にとって、売上予測の中心的なテーマです。忙しい時期に多くの収入を得て、静かな時期の費用をまかなう、という年間の流れで見ると、資金計画がより現実的になります。静かな時期には、貸切の合宿や、少人数の企画、地元の方向けのプランなど、別の需要を呼び込む工夫を計画に入れておくと、年間の売上が安定します。

さらに、新しい事業は、見込みを下回る月があっても、そこで落ち込む必要はありません。最初の数字が外れるのは自然なことで、外れた理由を見つけるほど、次の予測が良くなっていきます。記録を残し、少しずつ磨いていく姿勢が、事業を長く続けるいちばんの力になります。

月ごとの表にして、資金計画につなげる

掛け算で出した売上を、月ごとの表に並べます。このとき、売上が立つ月と、お金が入る月がずれることがあるため、入金の時期も確認してください。月ごとの売上予測ができたら、資金繰り表や資金計画の表に入れて、毎月の費用と見比べます。

売上予測は、一度作ったあとも育てていく表です。開業後は、実際の数字と見比べて、客数・単価・稼働のどこが予測と違ったのかを見直します。この見直しを重ねるほど、予測の精度は高まり、次の計画が立てやすくなります。

12FUNDでは、熱海・伊豆山の小さな宿、店、地域の事業者の方からの、資金や補助金のご相談を受けています。公募情報の整理、事業計画の材料づくり、場所や設備、音楽の権利などの棚卸し、専門家への橋渡しまで、売上予測の考え方を一緒に整える形でも相談できます。最初のお問い合わせでは、機密の財務資料は送らず、状況のあらましをお書きください。

12FUNDのお問い合わせフォームから相談する

よくある質問

開業前で実績がなくても、売上予測は立てられますか?

立てられます。掛け算に分けて、近い条件の事業の話や公開された情報を根拠に、控えめな数字から始めてください。

売上予測は、いくつ作ればよいですか?

見込みどおりと控えめの2通りがおすすめです。控えめな予測でも続けられるかを確認すると、計画の堅実さが伝わります。

売上予測はいつ見直せばよいですか?

開業後は月に1回、実際の数字と見比べて、客数・単価・稼働のどこが違ったのかを確認します。

記事の公開日:2026年11月5日。運営:株式会社エートゥーナンバーレコード(〒413-0002 静岡県熱海市伊豆山573-2)。