借入の準備

借入の前に整理する数字5つ 金融機関に話す準備の手順

借入の相談は、数字を5つ整理してから始めると話がスムーズに進みます。小さな宿やお店でも、紙1枚から始められる準備の手順をまとめました。

借入の相談の前に整理したい数字は、「必要な金額」「手元にある資金」「借りたい金額」「毎月返せる金額」「返し終わるまでの期間」の5つです。この5つが紙1枚に書けていれば、金融機関でも専門家でも、話が早く進みます。完璧な数字でなくても大丈夫です。見込みの数字に「見込み」と添えて持っていくだけで、相談の質が大きく変わります。

5つの数字を一覧にする

まず、全体像をひと目で見られるように、次の表を紙に書き写してください。空欄は、これから順に埋めていきます。

数字意味どこから出すか
1 必要な金額事業のために使う金額の合計見積書・費用の書き出し
2 手元にある資金自己資金と、集まる見込みの補助金など通帳・公募の日程
3 借りたい金額1から2を引いた不足分に、予備を足したもの1と2の計算
4 毎月返せる金額月々の収支から無理なく返せる額毎月の収支表
5 返し終わるまでの期間3と4から見えてくる年数3÷4の目安

1 必要な金額を決める

必要な金額は、改装や設備などの「一度きりの費用」と、開業してから売上が安定するまでの「当面の運転資金」の2つに分けて考えます。後者は、家賃・光熱費・仕入れ・人件費などの毎月の費用を数か月分見込んだものです。

  • 一度きりの費用は、見積書が取れたものから金額を入れる
  • 見積りが未取得の項目は、同じ種類の過去の資料やインターネット上の相場をもとに仮の金額を入れて、「仮」と書く
  • 運転資金は、毎月の固定費に何か月分を見込むかを自分で決める

運転資金の見込みを立てるときは、次の3つの費用を月ごとに並べると漏れが減ります。

費用の種類例考え方
毎月決まって出る費用家賃・光熱費・通信費・保険売上が少ない月でも出るので、最優先で確保する
売上に合わせて動く費用仕入れ・清掃・消耗品・決済の手数料売上の見込みと一緒に増減させる
時期を決めて出る費用修繕・更新・税金・年間の契約月割りにして積み立てる気持ちで表に入れる

3つ目の「時期を決めて出る費用」は見落とされやすく、年に1回の大きな支払いで資金が急に減る原因になります。年間のカレンダーに支払いの月を書き込んでおくと、備えがしやすくなります。

金額は、見積書や請求書など、後から説明できるものとセットで残しておきます。数字の出どころが書いてあるだけで、相談を受ける側の理解がぐっと深まります。

2と3 手元の資金から、借りたい金額を逆算する

手元の資金には、通帳にある自己資金のほか、入ることが決まっている補助金なども含めます。ただし、補助金は事業を終えたあとに支払われる形が一般的なので、「使う日」と「入る日」のずれを確認し、入るまでのつなぎが必要なら、その分も借りたい金額に含めます。

借りたい金額は次の考え方で出します。

  1. 必要な金額の合計を出す
  2. 手元の資金のうち、事業に使ってよい金額を引く(生活費として残す分は引かない)
  3. 残った不足分に、予備として少し足す

手元の資金をすべて事業に回してしまうと、予想外の出費が起きたときに身動きが取れなくなります。生活費の分は先に別にしておくことが、続けていくための土台です。

4と5 返せる金額と期間を、収支表から出す

返済は、借りるときに決まったとおりに、毎月続きます。そのため、「借りられる金額」ではなく「返せる金額」から考えるのが安全です。毎月の収支表を作り、売上から経費を引いた残りのうち、無理なく返せる額を決めます。

見込み考え方
見込みどおりの月売上の見込みから費用を引いた残りが、返済に回せる目安
控えめな月売上が見込みより少なくても、返済を続けられるかを確認
繁閑のある事業忙しい時期と静かな時期を月ごとに分け、静かな月でも払えるかを確認

宿や飲食のように季節で波がある事業は、年間を通した月ごとの表にしておくのがおすすめです。借りた金額を返済する月数で割ると、毎月の返済額の目安が見えてきます。利率や返済の方法は借りる先で条件が違うため、具体的な数字は金融機関の説明を聞きながら確認してください。

金融機関に持っていく紙の揃え方

5つの数字ができたら、次の資料を揃えておくと、最初の面談で話を進めやすくなります。

  • 5つの数字を書いた1枚の表
  • 事業の概要(何を、誰に、どこで、どう提供するか)を数行にまとめたもの
  • 見積書や、費用の根拠になる書類
  • 毎月の収支表(見込みどおりと控えめの2通り)
  • これまでの事業の経歴や、取り組みを知ってもらえる資料

すべてがきれいに揃っていなくても、まずは話を聞いてもらうことが大切です。相手の質問に答えるなかで、足りない資料が分かり、次の準備が見えてきます。

相談で聞かれやすいことと、答えの用意

相談の場では、数字の背景を知るための質問がいくつか出てきます。あらかじめ答えを一言ずつ書いておくと、落ち着いて話せます。

聞かれやすいこと用意しておく答え
何のために借りるのか改装・設備・運転資金など、使い道を項目ごとに
いくら必要で、いくら借りたいのか必要な金額・手元の資金・借りたい金額の3つ
どうやって返すのか毎月の収支表と、返済に回せる金額
売上はどう見込んでいるのか客数・単価・稼働の考え方と、控えめな場合の見込み
事業の強みは何か場所・設備・経験・音楽など、その事業ならではの資産
思いどおりにいかない場合はどうするのか費用を抑える方法や、収入を増やす工夫を2〜3個

最後の質問は、ひるむ必要のない質問です。先の見通しを一緒に考えてくれる相手だと受け止めて、「こう工夫する」という前向きな答えを用意しておくと、計画の確かさが伝わります。たとえば、客室や席の使い方を変える、季節に合わせた企画を足す、既存の設備を別の用途にも使う、といった工夫です。

面談の前には、5つの数字を声に出して説明する練習をおすすめします。1分で話せるようになれば、本番でも焦らずに伝えられます。家族や仲間に聞いてもらい、分かりにくい所を指摘してもらうと、説明がさらに磨かれます。

借りる以外の選択肢も、並べて考える

必要な資金は、借入だけでなく、補助金やクラウドファンディングで組み立てることもできます。補助金は返済が不要ですが、対象になる経費や期間が決まっているため、公募要領をよく読んで事業の内容と合うかを見ます。クラウドファンディングは、応援してくれる人に支えられながら資金を集められる一方、リターンの準備に手間と費用がかかります。

大切なのは、どれか一つに決めることではなく、いくつかの方法を組み合わせて、無理のない形を作ることです。借入の金額を抑えられれば、毎月の返済も軽くなり、事業を続ける余裕が生まれます。

12FUNDでは、熱海・伊豆山の小さな宿、店、地域の事業者の方からの、資金や補助金のご相談を受けています。公募情報の整理や事業計画の材料づくり、税理士や弁護士などの専門家への橋渡しまで、5つの数字を一緒に見直す形でも相談できます。最初のお問い合わせでは、機密の財務資料は送らず、状況のあらましをお書きください。

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よくある質問

借入の相談には、どのくらい数字が固まっていればよいですか?

5つの数字が見込みの形で書けていれば相談を始められます。「見込み」「仮」と添えて持っていくと、足りない部分を一緒に確認できます。

借りたい金額は多めにしたほうがよいですか?

不足分に少しの予備を足す形が基本です。多すぎると返済が重くなるため、返せる金額から逆算して決めます。

補助金が入る予定でも借入は必要ですか?

補助金は事業を終えたあとに入る形が一般的なため、入金までのつなぎの資金が必要になる場合があります。入金の時期を表に書いて確認してください。

記事の公開日:2026年11月5日。運営:株式会社エートゥーナンバーレコード(〒413-0002 静岡県熱海市伊豆山573-2)。